オスグッド

【オスグッドとは】

オスグッドとは、脛骨粗面（けいこつそめん）が隆起して、痛みや腫れなどを生じたものです。
※脛骨粗面（膝のお皿の下にある骨の出っ張り）のこと。

成長期の男子に発症が多くなっています。

【オスグッドのメカニズム】

オスグッドは「大腿四頭筋」が大きく関与しています。

大腿四頭筋は太もも前側の筋肉で、膝蓋骨を介して脛骨粗面に付着しています。
膝を伸ばす際に大腿四頭筋は収縮します。
スポーツで膝の曲げ伸ばしを過度に繰り返していると、大腿四頭筋の付着部である脛骨粗面に牽引力が働き、炎症を起こしてしまうのです。
特に成長期の子どもは骨が完成しておらず、軟骨の状態になっているために、牽引によって剥離しやすくなっています。

【オスグッドのおもな原因】

●オーバーユース

オスグッドは、オーバーユース（使いすぎ）による脛骨粗面骨端線への過負荷がおもな原因にあげられます。
膝を頻繁に曲げ伸ばしするバスケット、バレー、サッカーといったスポーツでの発症が多くなっています。

●大腿四頭筋の過緊張による牽引力（疲労・成長期）

大腿四頭筋の柔軟性の低下は、オスグッドのリスクを高めます。
硬くなった筋肉で、軟骨がより引っ張られてしまうのです。

特に成長期の子どもは、大腿四頭筋の柔軟性が低下しやすくなっています。
理由としては、骨の急成長に筋肉や腱の成長が追いつかず、筋肉・骨格がアンバランスな状態になることが考えられています。

●不良姿勢

普段の姿勢の悪さも、太ももを硬くする原因になります。
骨盤を後方に倒し、背中を丸めるような姿勢になっていると、太もも前側の筋肉が緊張しやすくなっています。

●間違った身体の使い方

オーバーユースに加えて、ミスユース（負担のかかる運動フォーム）もオスグッドの原因の一つです。
具体的には、「ガニ股」「着地時に膝が内側に入る」「体幹からではなく、膝の力だけに頼ったキック動作」などがあげられます。

オスグッドでは、次のような症状例があげられます。

【オスグッドの症状】

●膝下の圧痛

脛骨粗面に限局した圧痛がみられます。

●動作時の痛み

体重をかける際や膝の屈曲、ダッシュ、サッカーのキック動作などで、膝の痛みが誘発されることがあります。
痛みによって、太ももに力を入れられず、運動のパフォーマンス低下にもつながりやすくなっています。

●骨の膨隆

牽引によって成長軟骨が剥離して、膝のお皿の下がボコっと出てくることがあります。
膨隆部分が床に当たると痛むため、正座や膝立ちなどが困難になる場合もあります。

●腫れ、炎症

炎症によって、脛骨粗面が腫れてきます。
また、患部が赤くなったり、熱を持ったりする場合もあります。

【痛みの経過】

成長期が終わると骨が硬くなるため、症状は軽減してきます。
しかし、無理をして使っていた場合は、骨の膨隆や脛骨粗面の痛みが後遺症として残る可能性もあります。

【オスグッドに似た膝の痛み】

●ジャンパー膝

同じ膝周辺に起こる痛みに「ジャンパー膝」があげられます。
ジャンパー膝とは、ジャンプ動作の繰り返しによって、膝蓋靱帯を痛めたものです。

見分け方としては、次の点があげられます。

・オスグッド：小学高学年〜中学生に多い、脛骨粗面が痛む
・ジャンパー膝：オスグッドよりも少し上の年齢に発症する、膝蓋骨の上や下部分が痛む

などです。

●成長痛

オスグッドは成長期に発症しやすいため、「成長痛」と考えている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、両者は原因や症状が異なり、別物と言えます。

成長痛は幼児〜小学生低学年に多く、特にスポーツとは関係なく発症します。
また痛みが出る箇所も、オスグッドはピンポイントに対して、成長痛では下肢全体が痛むことが特徴です。

膝下の痛みや腫れがみられる場合は、次のような対処が有効とされます。

●運動量の調整

運動後に強い痛みが出る場合は、運動量を見直してみましょう。
具体的には「ジャンプやダッシュ、キック動作のないメニューにする」「上半身中心に鍛える」「運動時間を減らす」といった対処法があげられます。
初期段階であれば、安静によって痛みは緩和しやすくなっています。

●冷却する

炎症を抑えるため、運動後に患部をアイシングしましょう。
アイスノンや氷水の入った袋をタオルで包み、脛骨粗面に当てて冷やします。

●もも前のストレッチ

ストレッチによって、大腿四頭筋の柔軟性を高めましょう。
呼吸をしながら、30秒ほどかけて伸ばすことがコツです。

・壁に左手をついて立ちます。
・右膝を曲げて、かかとをお尻につけるようにします。右手でつま先をお尻に押し付けるようにしてください。
・そこから、胸を張るようにすると、太もも前側の筋肉を伸ばせます。
・反対側も同様におこないます。

また、太もも前側の筋肉をより幅広く伸ばしたい場合には、次のようなストレッチ方法もあります。

・左足を前に踏み出します。右足は後ろに伸ばし、膝を立てるようにします。膝の下にはマットやタオルを置いてください。
・左手は左膝の上に置いて身体を支えます。
・右手で右足のつま先を持って、膝を曲げていくと、足の付け根から太もも前側の筋肉が全体的に伸ばされます。

こちらはストレッチがかかりすぎる場合もあるため、ゆっくりと伸ばすようにお気をつけください。

●太もも前のセルフマッサージ

湯船の中や、お風呂上がりなどに大腿四頭筋をセルフマッサージでほぐしましょう。

膝を伸ばして座ります。
手で太もも前側の筋肉を優しくつかみ、振動させるようにすると、緊張がほぐれやすくなります。
足の付け根から膝上まで、幅広くほぐしましょう。

●テーピング、サポーターの使用

テーピングを貼ることで、脛骨粗面にかかる牽引力を抑える効果が期待できます。
また、オスグッド専用のサポーターも市販されています。

痛みが引いてきたら、今度は再発させないように予防もしておきましょう。

●股関節から足にかけてストレッチ

痛みがあるときに限らず、太もも前側のストレッチは日常的に行うようにしましょう。
加えて、股関節の動きもやわらかくしておくと、膝にかかる負担を軽減できます。

・お尻のストレッチ

床に座り、片方の膝を立てます。
立てた膝の上に、反対側の足首を乗せて、膝を開いた状態にします。
そこから上半身を前に倒すと、よりお尻の筋肉を伸ばせます。
左右バランスよく伸ばしましょう。

・股関節を広げるストレッチ

両足裏を合わせて座り、股関節を広げた状態にします。
両手は足を持ち、肘で股関節を広げるようにしながら、上半身を前に倒していきます。

●姿勢の改善

背中の丸まった姿勢は、太もも前側の緊張を強めてしまいます。
立位、座位にかかわらず、下腹部に意識を置いて、骨盤を立てるように意識しましょう。
また、天井から頭を引っ張られるようにイメージすると、正しい姿勢をとりやすくなります。

●睡眠

夜更かしはせず、毎日7時間以上は睡眠をとるようにしてください。
睡眠中に分泌が増える「成長ホルモン」の作用で、身体の治癒力は高められます。

また、睡眠の質を高めるためにも、寝る前にはスマホやパソコンはなるべく見ないようにしましょう。

●整骨院や医療機関にみてもらう

痛みや違和感を感じたら、すぐに整骨院や医療機関でみてもらってください。

整骨院では、身体のゆがみを矯正したり、筋肉の緊張を緩めたりすることで、痛みの予防を期待できます。
また痛みが強い場合は、医療機関で処方される湿布が有効な場合もあります。

●インソールを使用

靴底にインソールを入れることで、足首から膝、股関節のアライメントの崩れが解消されやすくなります。
どのようなインソールが必要なのかは、一度整骨院などの身体の専門家にご相談ください。

当院では、オスグッドに対して理学的検査やエコー観察を行っています。
一般的には成長痛としての認識が多いのですが、実は状態によっては骨折に発展していることもあり、場合によって運動を完全に停止させなくてはいけないこともある疾患です。

当院では現在の状況に合わせ施術を行っています。
アイシングやマイクロカレント(微弱電気)にて炎症を抑え患部の組織再生を促し、原因筋肉となっている大腿四頭筋や下腿、股関節の屈伸動作の改善をストレッチやトレーニングで行います。

痛みが強い場合は『拡散型衝撃波』『ショックウェーブ』といわれる圧力波を利用した施術を行います。
器械から発する衝撃波が痛みを感じている神経(自由神経終末)のみを壊すため、除痛に効果的な施術となります。
しかしながら、身体の硬さや動作不良によって再発しやすくもあるため、運動後のアフターケアや動作を改善していくことが大切です。
当院ではそういった指導まで行っていますので、ぜひご相談下さい。