交通事故施術

人身事故は、どういった状況での発生が多いのでしょうか？

【事故の多い場所、状況】

さまざまな方向に自動車やバイク、歩行者が行き交う「交差点」で事故が多発しているようです。
その他、「カーブが多い見通しの悪い道路」や「スピードの出る夜間の道路」「歩行者が多い生活道路」なども、事故が発生しやすい場所にあげられます。

また、人身事故の発生する状況では「追突」「出合頭の衝突」「右折・左折時の衝突」などが多くを占めています。

【交通事故で発生しやすいケガ】

交通事故時に最も痛めやすい箇所は「頸部（首の部分）」だといわれています。
事故の衝撃で頭が激しく振られ、首周辺の靭帯や筋肉などを痛めてしまうのです。

一般的には、「むちうち（頸部捻挫）」と呼ばれており、後方や側面からの追突や転倒などで、頭が振られやすくなっています。
また、むちうち以外にも、次のようなケガがあげられます。

●腰部の捻挫、背部の挫傷

事故の衝撃をこらえるため、腰部を強くひねったり、背中の筋肉を強く伸ばしたりすることがあります。

●腕や肩の打撲

横から追突された際、身体の片側部分に強い衝撃が加わりやすくなっています。

●胸の打撲、肋骨の骨折

身体が前方に投げ出され、エアバックやハンドルに胸を強くぶつけることがあります。

●膝の打撲、股関節の脱臼

前方に投げ出された際にダッシュボードに膝を強打することがあります。
また、衝撃が強い場合は、股関節の脱臼も起こりえます。

交通事故によるケガは、受傷直後には異常を感じにくいという特徴があります。
首周辺の筋肉や靭帯を痛めているにもかかわらず、なぜ事故後は痛みを感じにくいのでしょうか？
おもに次にあげるような理由が考えられています。

●アドレナリンの分泌

交通事故という慣れない状況に脳が過剰に興奮し、アドレナリンの分泌が増加してきます。
すると、痛みを感じるセンサーが一時的に麻痺させられ、痛みを感じにくくなることが考えられます。

事故から時間が経ち、アドレナリンの分泌が低下してきたタイミングで、痛みを徐々に感じ始めてくるのです。

●内出血が遅れて出てくる

日常でもよく起こる打撲（打ち身）を思い出してみましょう。
負傷直後は見た目に何もなくても、数日経過してから内出血が広がり、腫れてくることが多いと思います。
むちうちでも同様に、時間が経ってから内出血による腫れが起こり、痛みが出てくることが考えられます。

【むちうちは後遺症が残りやすい外傷です】

事故の衝撃は想像以上に大きく、頚椎周辺の組織には強い負荷が加わります。
むちうちは外観に異常が見えにくいため、軽い事故であれば放置される方も少なくありません。
しかし、事故で受けたケガや頚椎周辺の緊張、ゆがみなどをそのままにしておくと、後遺症につながる可能性も高くなっています。

痛みは感じにくいかもしれませんが、事故後は早めに医療機関で検査を受けるようにしましょう。

自動車の追突やバイクとの接触など、交通事故によって負傷した場合は、自賠責保険が適用されることがあります。

【自賠責保険とは】

自賠責保険は、交通事故被害者の最低限の救済を目的とした保険です。
正式には「自動車損害賠償責任保険」と呼ばれます。

法律で加入が義務付けられている「強制保険」のため、自動車やバイク、原付の所有者は全員加入しています。
未加入で運転した場合は、事故の有無にかかわらず、罰金や懲役、免許停止を科されることがあります。
また、自賠責保険に加入していないと、車検を受けられません。

●自賠責保険が適用となる状況例

次のようなケースで自賠責保険が適用されることがあります。

・交差点を直進中に右折してきた車と衝突し、身体を強く打撲した。
・赤信号を停車中に後ろから追突され、むちうちになった。
・横断歩道を渡っている際にバイクと接触して転倒し、腕を骨折した。

などです。

自賠責保険は、対人事故の賠償損害に限り補償されます。
そのため、加害者のケガの治療には自賠責保険は使えません。
しかし、「追突を起こした車の同乗者がむちうちになった」といったように、事故を起こした車の所有者でなければ、同乗者には自賠責保険が適用されます。

●自賠責保険の補償内容

自賠責保険が適用されると、次の項目が補償される場合があります。

・医療機関での治療費（検査、投薬、手術、入院など）
・整骨院での施術費
・診断書の発行手数料
・通院のために使った交通費

などです。
また、通院や体調不良によって仕事ができなかった場合には、休業補償がされることもあります。

交通事故外傷の治療や施術などにかかった費用は、基本的に加害者側の自賠責保険から支払われます。
しかし、状況によっては、任意保険が利用されることもあります。

【任意保険とは】

自賠責保険とは違って、任意保険は加入、未加入が選べる保険です。
「自動車保険」とも呼ばれています。

●限度額を超えた治療・施術費は任意保険から

被害者の自賠責保険の限度額を超えた治療・施術費は自賠責保険から支払われる形になります。
障害の損害では、自賠責保険の限度額は「120万円」です。

軽いむちうちであれば、上記の範囲に収まってきます。
しかし、重症で長期の入院や治療が必要なケースでは、限度額を超える可能性は十分にあります。
加入は自由になっていますが、事故被害者を守るためにも、任意保険に加入することが一般的です。

●自賠責保険と任意保険の違い

対人事故の賠償に限られる自賠責保険とは違って、補償の範囲が幅広くなっていることが、任意保険の大きな特徴です。
例えば次のような項目が補償されることがあります。

・加害者のケガの治療費
・車の修理
・ガードレールや建物、電信柱の破壊

●被害者の任意保険

「被害者の過失が大きい」「加害者が支払いになかなか応じない」といったケースでは、被害者が加入する任意保険を利用する場合があります。
任意保険では、過失割合に関係なく補償されたり、家族や同乗者も補償されたりすることがあります。